「医食」ダイエット(U)

 

目 次

「痩せたければ1日3食」という間違い

T.何故、一日三食は食べすぎか
2.玄米・菜食では一日ニ食が原則
3.居眠りと朝食抜きは無関係
4.ニ食で太るのは食べ方の間違い
5.「腹八分目は」痩せるための鉄則
6.夕食が最も大切なエネルギー源
7.二食にしても貧血にはならない

「痩せたければ1日3食」という間違い

  

T.何故、一日三食は食べすぎか


日本人全体が、一日三食をとるようになったのは、江戸時代以降である。それまではニ食がふつだった。それで何の不都合もなかったばかりか、それで素晴らしい健康が保てたのである。一日三食になってから、むしろ健康状態は悪化しているのである。

  一日三食になったのは、生活に余裕ができ、食糧事情もよくなったためでもあるが、より本質的なことは、必要な栄養成分を確保するためにはそうせざるを得なかった、ということであろう。食事の内容が、質的に希薄になったために二食ではもたなくなり、一食増やし、結果として、量的にオーバーになってしまったのだ。


  食事内容に大きなアナをあけてしまったのは、主食を玄米から白米に変えたことである。玄米には、われわれの体に必要な栄養成分のことごとくが含まれている。これを主食としている限り、一日ニ食で、腹八分目にとっておれば、十分に、体蛋白の消耗を補ったり、活動エネルギーを生み出したりできるのである。ところが、主食を白米にしてしまっては、一日三食にし、副食を盛りだくさんにして、毎食腹いっぱい食べても、需要を十分に満たすことが出来ないのである。

  各種の微量有効成分が欠乏している一方、不自然な姿の炭水化物、体に不必要な動物性蛋白質や脂肪はあり余った状態になる。現代人の濃厚な食事は、内容的には非常に肥満を招きやすいものになっているのである。

  しかも、機械文明の発達によって、昔と比べて運動量は激減している。カロリー消費が少なくなるだけでなく、臓器組織の活動は弱まり、老廃物の体内蓄積は助長され、新陳代謝機能の混乱も起こりやすくなっているのだ。これで太らなかったら、それこそ不思議な話というべきだろう。



2.玄米・菜食では一日ニ食が原則



なにはともあれ、食事の絶対量を大幅に減らすことが不可欠である。それも最も無理なく実現できるのは、食事回数を減らす事だ。つまり、一日ニ食にする事である。

一日ニ食にすると、栄養過剰になることが防止できるとともに、胃腸を完全に休める時間も十分に取れるので、消化作用はスムーズに行われ、食物の栄養成分は効率よく吸収できる。食事量がすくなくなり、胃腸の調子もよくなるから、当然、老廃産物の生産もそれだけ少なくなる。となれば、必然的に生理機能も、もっとも良い状態に保てるわけである。

 もちろん、一日ニ食にするためには、それによって必要な栄養成分を完全に補給できるよう、質的に完璧な食事内容にしなければならない。つまり、玄米・菜食にすることが絶対条件なのである。

 したがって、痩せたければ一日三食、理想的には一日四食・・・・などというのは、まったく消化管の生理を無視した暴論である。

 肥満コンサルタントの方々の中には、一日三食欠かさずとることが大切だと強調している人が少なくない。だが、いずれも、その理由としてあげていることは、こじつけ、誤った先入観、事実の曲がった解釈に基づいてもので、それぞれ極めて幼稚な機械論に陥っている。たとえば、「朝食を抜くと午前中から眠くなり、神経はイライラして、仕事の能率はさがる」「人間の体には環境に適応する能力が備わっている。食事の間隔が長くなると、体は、その間に必要な予め蓄えておくような代謝の仕方に、自然に変化してくる。つまり、糖分を脂肪にしやすいしくみができ上がる」というようなことがいわれている。


3.居眠りと朝食抜きは無関係


 その日の活動エネルギーは、前日あるいは前々日からの睡眠中に十分に貯えられているはずのもの、朝食の消化吸収された栄養成分が、すぐに活動エネルギーとなってその日の午前中からすぐに活用されるということはあり得ない。神経がイライラしたり、仕事の能率が下がるのは、朝食を抜くことによっておこるのでではなく、日常の食事内容の悪さが原因になっているのである。ましてや、朝食を抜いたためにに眠くなる、などということは起こり得ない現象だ。いつも過食気味で、胃腸が疲れている現代人は、食事を一食抜けば、それだけ胃腸に休息を与えることになり、脳細胞の活動には好都合となるから、頭は冴えてくることはあっても、眠くなることなどあり得ない。現在、朝食を抜いている人で、午前中に居眠りする人が多いとすれば、それは、朝食を摂らなかったことが原因ではなく、それ以前に胃腸が極度に疲れていることが原因なのである。

また、食事の間隔が長くなると、体はかえって太りやすくなる、というのも、全くいただけない論理である。


4.
ニ食で太るのは食べ方の間違い


 われわれの体は、その置かれた生活条件の中で、最も望ましい姿で生理機能を営むようになる。

したがって、食事の間隔が長くなれば、それが短かった時とは、当然、、異なった機能状態になるはずである。もちろんそれは、より正状になるわけで、糖分を脂肪にしやすいしくみが出来上がって、かえって太りやすくなる・・・・などということは起こり得ない話だ。

 エネルギーの貯蔵、また貯蔵成分のエネルギー化がより効率よく行われるようになろう。これは食物摂取の適正化に伴なって、本来の生理機能がよみがえるということである。胃腸は過重な負担を受けないから、十分に働きながら、しかも過労に陥ることはない。より少ない材料で必要な体構成成分を作り出すために、利用できるのは徹底的に利用するから、残りかすは少なくなる。消化液の分泌はムリ強いされないし、血中の老廃物や毒素も少ないから、膵臓や肝臓も十分な働きができる。

 このような状態において、不要な脂肪がより沈着しやすくなる、という現象はおきようがなかろう。


 一日ニ食にするとかえって太るという意見の論拠にされているのは、「ネズミを使った実験で、同じカロリーの餌なら与える回数が少ないほど太る・・・・という結果が出た」というものだ。

 これによっても、事実の解釈を間違っていることがわかろう。つまり、一日三回に分けて与えるいる食物と全く同じ分量を二回に分けて与えるということは、一回分の食事量が、ふだんの1.5倍にもなるわけだ。これでは消化管にも大きな負担がかかりすぎる。胃腸が疲れて十分に消化吸収されなければ、老廃産物はそれだけ増え、代謝作用は乱されることになろう。

 また、一度に大量の食物が摂取されれば、過剰な栄養成分は脂肪に変えられて貯蔵されるのが、正常な生理作用というもの。脂肪組織の形成が促進されるのは、食事の間隔をあけたからではなく、一時に必要以上の食物を摂取したためなのである。



5.「腹八分目は」痩せるための鉄則


 一回にとる食物量は、腹八分目にしておくことが鉄則だ。一日ニ食にするということは必然的に食物の絶対量を大幅にへらすことになるのである。われわれが一日ニ食を原則とせよといっているのも、そのためである。正しい食事法を行えば、二食にして、かえって太るなどということは、絶対にないことなのである。

 同様に、つぎのようなこともよくいわれているが、いずれも間違いだ。

 まず、「一食抜くと、低血糖症になる。低血糖状態になると、人はむやみに気分がいらだち、落ち着きがなくなり、集中力がなくなる。また、めまいや動機、息切れも起こりやすくなる。このような状態では、仕事や勉強が十分にはできない・・・・」というもの。

 これは早合点である。気分のイライラやめまい、動機などの症状は、確かに低血糖状態のときにおこりやすい。けれど、一度抜いたからといって、そんな病的な症状が現れるほどひどい低血糖状態が引き起こされるものではない。一食抜いたぐらいで、そんなにたやすく低血糖状態が引き起こされるとしたら、体そのものがすでに異常になっているのだ。その真因は、日頃の間違った食生活にあるのであって、一日ニ食にしたり、朝食を抜く・・・・ということとは、全く関係のないことなのである。

誤った食生活によって体調を崩している人は、とくに朝の寝起きも悪くて食欲もない。当然、朝食をぬくが、そんな人が、とくに体がしっかりした活動状態になりきらない午前中に、低血糖などの生理機能の失調を起こし易く、そのために、いろいろな障害を引き起こす。


このような障害が、単に朝食抜きの為におこっているのなら、朝食を摂りさえすれば治るはずである。だが、実際は、朝食をとればますます体調はおかしくなってしまう。このような人は、寧ろ、朝食だけでなく、昼食も抜くぐらいにして、食事量を思い切り少なくし、その代わりに質を十分に吟味することが重要でなのである。

いま朝食を抜いている人が、低血糖状態になっていたら、いらいらやめまいを起こし易くなっているケースが多いからといって、それを一日ニ食は、有害ということの理由にはできないのである。


6.夕食が最も大切なエネルギー源


 次に、「朝食を抜いていると、夕食に過食しがちになる。朝、食物が送り込まれてこないとわかると、人間の体は自衛本能が働き、無意識のうちに夕食をついに食べ過ぎてしまう。夜は体を動かさないから、食べたものは体内に貯えられ、ふとる原因になる」というもの。

 食べた物が正当に代謝され、有効に身につくのは自然であり、望むところであるはず。それを、たくさん食べ、しかも太りたくないという不自然な事を実現しようとするから、いろいろなムリが生じるのである。また、朝食は午前中の、昼食は午後の、働くためのエネルギーとなり、体力の消耗を補うのに費やされるが、夕食後は運動量がぐっと減るため、夕食として食べた物は、脂肪となって貯蔵される・・・という間違った考え方がされている。


れわれの体における、食物の消化、物質代謝、エネルギー生産は、そんな単純なものではない。その日の活動エネルギーは、遅くとも、前日から夜にかけての時期に全身の機能を総動員することによって用意されている。

 生理機能の自然のサイクルからいって、夕食が最も効率よくエネルギー源になるのであって、必ずしも無駄な脂肪として蓄積されるわけではないのである。余計な脂肪として蓄積されるかどうかは、食事の質と量にかかっているのである。


7.二食にしても貧血にはならない


さらに、「一日二食にすると貧血になる」というのも的外れの意見。一食抜くと、それだけ血液の主成分となる蛋白質や鉄分の補給が少なくなるために貧血になるという意見だが、最近の貧血患者の特色は、血漿蛋白はダブつき気味になっているし、単に鉄分を補給しても貧血は治らない。

 一日三食にせよということで、一般に勧められている食事そのものに、葉緑素やビタミンB類、酵素など、造血に必要な微量成分が大幅に欠如しているのだから、三食とるようにしたからといって、貧血が治るわけはない。むしろ助長される可能性が強い。つまり、二食にすると貧血になるという議論は成り立たないのである。

 また、「朝食を抜いている学童は、活気がなくなり、成績も下がる」というもの誤りだ。

 子供は、朝早くから目がさめて、少しもじっとしておれず、その辺を駆けずり回る。健康な子供なら、朝は旺盛な食欲があるはずだ。食事をする時間もないほど時間ギリギリまで寝ていなければならない状態だったり、食欲ななかったりするのは、すでに体に何らかの障害がおこっている証拠である。体に障害があっては、勉強にも身が入らず、成績もよくはならないはずであろう。


「自然食で美しく健康にやせる本」より--森下敬一著




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