高 血 圧

 

★こうして高血圧症になっていく

 

 どこも悪いところがないのに、血圧だけが異常に高くなるということはないし、もし脳出血がおこっても、体の条件がよければいくらでも回復するものだ。

 もちろん、高血圧症を放置しておいてはいけない。それは、脳・心臓・腎臓・眼といった重要な器官に障害がおこりやすいからだ。

 高血圧症になると、頭痛、めまい、耳鳴り、手足のしびれ感などがおこりやすいのは、脳の血管に障害があらわれるため。ひどくなれば脳出血ををおこす。高血圧状態が持続すると、末梢血管の動脈硬化がひどくなる。心臓は、その低抗にうち勝って仕事量を増やさなければならないので、オーバーワークから過労に陥り、ついには機能不全になってしまう。

 

 腎臓にも毛細血管が密集している。高血圧に低抗しているうちに血管壁は肥厚し、内径が狭くなると、組織の血液供給が不十分になって、腎硬化症となって機能は極度に落ちてくる。眼底の動脈は、血圧の変化がそのままあらわれやすい。動脈が細くなり、網膜出血がおき、ついに乳頭浮腫がおこるようになる。高血圧で心理的圧迫を感じているというのは、このような最悪の状態を無意識のうちに想定してしまうからであろう。実は、それは、自らが怠惰であることを証明していることを証明していることなのだ。

 高血圧がおこる原因の一つとして有力視されているのは、ワゾプレッシンなどの血圧上昇物質が血液中に生じる、ということ。そのため、それら血圧上昇物質の生成を抑制したり、作用を中和するものを与えればよい、というわけで、血圧降下剤もつくられている。

 だが、問題は、血圧上昇物質を生み出した背景にあるのだから、降圧剤で高血圧症が根治できるはずはない。

 

 血圧が高くなるのは、体に、高い圧力で血液を循環させなければならない必然性が生じているためだ。以上血圧を必要としている体の異常性を治さないで、血圧だけを低くすることは、むしろ害がある、と考えるべきである。

 高血圧を要求する体の条件とは何なのだろうか。

 それは、血液の粘稠性が異常に高まっていることだ。粘稠性の高い血液を、一定の内径である血管の中を流そうとすれば、ふつうよりも大きな力がいるはずであろう。

 酸類や窒素細胞の新陳代謝は混乱して、変性がおこったり、老廃物が沈着する。そうなると、血液は正常な活動をしている組織細胞に届きにくくなるから、いよいよ血圧を高めなければならなくなる。また、動脈が高血圧にさらされ続けていると、動脈硬化がおこる。そして、血管は弾力性がなくなり、内径もいっそう狭くなるから、体のすみずみまで血液を送り込むためには、さらに血圧をあげる必要が生じる。

 

★腎臓と高血圧はもちつもたれつ

 

 こんな悪循環をくりかえしていると、内蔵機能に変調が起こってくるが、とくに犠牲になりやすいのは腎臓である。また逆に、腎臓機能低下があると、高血圧がおきやすい。

 若い人では、尿蛋白や血尿がでたりしているうちに、いつとはなしに高血圧がおきるし、中年以降では腎盂腎炎や前立腺肥大のため尿路がつまり、たまった尿で腎臓が圧迫されると、急に血圧が高くなる、というケーズが多い。

 

 腎機能が低下すると、腎臓はある物質を生成して、副腎皮質を刺激して、ナトリウムやカリウムなどの電解質の代謝に関係のあるホルモンの分泌を促す。その物質が同時に血管収縮作用をあらわすため、結果として高血圧を招くことになるらしい。

 悪くなった腎臓を手術で切り取ってしまうと、高血圧症はウソのようにすっかり治るなどという意見もあるが、これでは、角を矯めて牛を殺してしまうようなもので、まったくバカげたことだ。

 

★消化の良すぎる食品はダメ

 

 血圧の理想値は、年齢にかかわりなく120〜130ミリHg。それより高ければ高血圧だ。高血圧症が中年以後の病気といわれたのは、一昔前の話。現在は中学生や高校生にも高血圧患者はザラである。

 高血圧を招く最大の原因は、動蛋食品・精白食品の多食である。いずれも、血液を酸毒化させ、粘稠性を高めるものだ。

 肉、卵、牛乳は、もともと穀菜食性であるわれわれの体には不適当なものである。

 白米、真っ白い小麦粉、白砂糖など精白された不自然食品は、体の自然性(生理)とは相容れない。

 

 どちらも、血内細菌のバランスをくずす。その結果、病的な細菌が繁殖し、大量の毒素を生み出し、それがどんどん血液中に吸収されてしまうのである。また、動蛋食品も精白食品も、動脈硬化を促進し、血圧上昇を促すものでもある。

 動蛋食品が血液のコレステロールを過剰にし、それが血管の内壁に沈着して動脈硬化を引き起こすことは周知の通り。精白食品も、それに負けず劣らずの動脈硬化要因となる。

 炭水化物は、われわれの体にとって、何よりも重要な栄養的要素だが、精白すると、共存しているミネラル、ビタミン、酵素成分が失われる。そのため腸壁から異常な速さで吸収されてしまう。消化がよくなりすぎるのである。

 

 その結果、血糖値を急上昇させ、血管壁にあるインシュリンを引き出してしまい、そこに脂肪変性をおこす。脂肪変性がおこると、血管は弾力性を失い、硬くなってしまう。このように、動蛋食品とは別のやり方で、深刻な動脈硬化を引き起こすのである。

 高血圧症を根治させるためには、玄米・菜食に切り換えることが絶対条件だ。とくに海藻を積極的にとることが大切。日本ソバも有効。シイタケは陰性体質者には大いに有効。体質にかかわりなく著しい効果をあらわすのは、浄血効果の大きい胚芽、葉緑素、酵素などの健康休暇食品である。

 

★治療のポイント

 

@     降圧剤に頼らない。生理機能の必然性があって血圧は高くなっているのだから、化学薬剤でムリに血圧を下げてしまうのは、逆効果。体の自然性を回復させながら、血圧を下げる、自然療法を行う事が大事。

A     精白食品は極力避ける。白米や白砂糖などは動脈硬化を招き、血圧を上昇させる。

B     動蛋食品の常食・多食をやめる。血液中の老廃物をふやし、血液の粘稠性を高める。

C     玄米・菜食に切り換える。根治の決め手である。玄米を主食にし、野菜・海藻・小魚介類を副食とする。それに体質にあった健康食品と薬草茶をプラスするのが、基本原則である。

D     便秘を治す。血液中の老廃物を早く体外に排泄し、血液の粘稠性を正常化する。

E     過食しない。食物は徹底的に噛んで食べ、胃腸の疲れをとり、かつ有効成分を効率よく吸収できるようにする。

 

★薬効食品と自然療法

 

【アカザ】 葉茎を煎じて飲む。

【クコ】 葉を、クコ飯やゴマ和えにする。

【ギシギシ】 根を煎服。動脈硬化防止作用も著しい。新芽を汁の実や油でいためて食べる。

【ヨモギ】 青汁を20ccほど飲む。

【ソバ】 ソバがきを、ときどき主食代わりに摂る。ルチンが血圧降下作用をあらわす。

【梅肉エキス】 一日ダイズ大2粒ぐらいを、適当に湯で溶いて飲む。

【ジャガイモ】 するおろし汁を、一日コップ1杯ずつ空腹時に飲む。

【クコ茶】 お茶代わりに飲む。

【玄米食の副食】 コンブ、梅干、アシタバ、ダイコンおろし、トマト、レモンを積極的に。

 

―「薬をいっさい使わない病気の治し方」より抜粋―



 



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