「医食」ダイエット(V)

 

目  次

「牛乳を飲めば背が伸びる」という間違い

1.錯覚の完全栄養食品.

2.ミルクは母乳にかなわない

3.牛乳は思考力や忍耐力を低下させる

4.牛乳はアレルギーを起こす

5.肉・卵・牛乳は三悪食品.

6.母乳が出なければ玄米乳がよい

7.離乳後には何を飲めばよいか 

「牛乳を飲めば背が伸びる」という間違い

  
1.     錯覚の完全栄養食品

 

 給食のミルク代が据え置きになったことに対して、小学生の子供をもつ東京の一主婦が、当局に感謝の手紙を出した・・・・ということが、先日のある新聞記事の中で紹介されていた。値上げの問題というよりも、子供の発育に重大な影響を及ぼすミルクの円滑なる供給に対して、いたく感謝したためであるらしい。

 こんなことが大真面目に行われているのだから、子供の心身が不健全になるのも、当然至極の話といわねばならない。

 とにかく、現代日本人の牛乳に対する信仰は大変なものである。世の栄養学者は「朝食をとる時間がなかったり、食欲がなければ、せめて牛乳1本は飲め」「一日3本あるいはそれ以上でも、水代わりに飲めば、夏バテは防げる」と盛んに飲用をすすめ、牛乳信仰に拍車をかけている。

 牛乳は良質の蛋白質を含む完全栄養食品だ、と思い込んでいるのである。蛋白質は、それぞれの体を構成する蛋白質により近い組成をもち、しかも、日本人に欠乏しがちなカルシウムがたくさん含まれている・・・・というわけだ。

 だが、本当に問題にしなければならないのは、食品分析値ではなく、食物が実際にわれわれの体の中に入ってからどのような働きをするか、ということなのだ。われわれの体細胞の働きを正状化し、その結果として健康を増進したり、或いはまた病気を回復させてくれたとき、その食物は有意義だった、と判断されよう。

 牛乳は、どうも、われわれの生理機能を大きく混乱させるシロモノらしい。とくにその蛋白質は、胃腸に大きな負担をかける。動物の体を構成する完成された蛋白質は、もともと草食動物であるわれわれの胃腸においては、スンナリとは消化できないのである。

 また、そのカルシウムは、われわれの体の正常なカルシウム代謝を混乱させるものであるらしい。

同じカルシウムであるから、一応カルシウムの代謝系に組み入れられるが、両者の微妙な性質の違いが物質代謝に異常を招き、その生理的効果を狂わせるのである。

 なお、われわれ日本人の消化酵素には、牛乳の乳糖を分解するいわゆる「乳頭分解酵素」がないし、されに、牛乳中のビタミンBは不活性型であることも判明した。

 このような食品を、完全栄養食品をみなすことが、そもそもおかしいのである。

 

2.ミルクは母乳にかなわない

 

 ミルクで育てた人口栄養児は、母乳栄養児を比べて、心身の健康上にいろいろなマイナス面が現れる。人工栄養によって、体質が軟弱化することが原因である。しかし、みかけだけは、人口栄養児のほうが立派に見える場合が多い。ちょっと注意深く観察すれば、瞳の輝きとか、皮膚の色つやや体のしまり具合など、母乳栄養児のほうが明らかに健康的である。だが、体格の大型化する人口栄養児のほうが、一見立派にみえるのだ。

 そのため、牛乳は発育をよくする・・・という錯覚を生み出している。人間において「発育がよい」ということは、心身ともバランスよく成長することでなければならない。つまり、体の形態と機能が、最もよい関連をもって発達することである。一般的にいって、体が異常に大型化すると、機能面に欠陥が出やすい。「質」が「量」に食われてしまうのだ。大型化していることを「体格がよい」などというが、必ずしも「よい」とはいえないのである。

 日本人には、日本人の、各年齢層における標準の体型というものがあるわけで、それをはるかに飛び越えて大型化するときは、むしろ、いろいろと不都合な点が生じてくる。

 

 

3.牛乳は思考力や忍耐力を低下させる

 

 最近の若年層の大型化は、明らかに牛乳によるものである。体格は大型化しているが、体質は悪化しているため、体力・知力は著しく低下している。

 体力低下は、体力測定の効果にもあらわれているが、近視や虫歯、肥満児のほか、いろいろな慢性病患者が多くなっている事実によって明らかだ。また知力の低下は、学生運動や非行事件など、思考力や忍耐力、協調性などの低下によってひきおこされる問題が頻発していることからも明白である。そして、このような現象には、牛乳の飲用ということも、大なり小なり関係しているのである。 

 牛乳は、子牛を最終的には大人のウシに育てるためのもの。牛乳には、骨組みをガッシリとさせ、脳細胞をウシとして必要な程度に発達させるだけの成分でしかない。したがって、牛乳は、それで育てられた子供に、そのような性格をもたせるのである。

 人間の子供は頭でっかちだ。他の動物と違って、脳を優先的に発育させていくからである。母乳、それを可能にする成分組成になっている。両者は、肉眼にはまったく同じ白い液状にしか見えないが、その質は、大きく異なっているのである。

 また、牛乳は、われわれの胃腸機能に大きな負担をかける。胃腸機能が障害されれば、栄養分の吸収は悪くなる。内臓や筋肉の充実した発達は期待できない。しかし、骨格を成長促進させるといった作用もあって、最近若年層に数多くのモヤシッ子がみられるようになった。

 この点からいえば、牛乳を飲めば背が伸びるということも、いえなくはない。むろん、モヤシッ子は、内臓器官の発達が悪いし、病気に対する低抗力も弱い。だから、牛乳を飲んで背が伸びるというのは、体質の悪さ、ひよわさの象徴であって、決して好ましい現象ではない。

 

 

4.牛乳はアレルギーを起こす

 

 牛乳の最大の欠点は、われわれの体をアレルギー反応を起こしやすい体質に変えてしまう点だ。これは、一般にアレルギー体質と呼ばれているものだが、同時に、それは広義のガン体質であることを見落としてはならない。アレルギー反応とは、一言でいえば、体外からの浸入物質に対する拒絶反応(抗原抗体反応)である。健全な体質であれば、多少、体にとって不都合な物質でも、一応さからわずに受け入れ、その後、時間をかけて徐々にそれらを無害なものに変質同化させていくので、このような反応はおこらない。

 アレルギー反応は、炎症症状となってあらわれやすく、風邪や鼻炎、咽頭炎、気管支炎などのいわゆるアレルギー性疾患をおこす。また、アレルギー体質においては、発生学的に皮膚と関連の深い消化器粘膜や神経もひよわになり、胃腸病や神経過敏になりやすい。

 

5.肉・卵・牛乳は三悪食品

 

 このように体細胞が、体外から浸入した異物に対して必要以上の反発をするのは、それだけ低抗性が弱まっている証拠だ。小心な人が自己防衛に戦々恐々としていて、人のいった軽い冗談さえ、牙をむいて突っかかってくるのと同じだ。

 体細胞のあり方をこのように病気にするのは、肉、卵、牛乳などの動蛋食品である。もともと草食動物である人間の体細胞は、その食性とかけ離れた不自然な食物をとることによって、自然に備わっている適応能力や同化機能を大幅に減弱させられるのである。とりわけ、牛乳は、アレルギー体質をつくりやすい。その上、最近の牛乳は、農薬や放射能、および飼料に混ぜて与えられている抗生物質や精神安定剤など、さまざまな化学物質によって汚染されている。これらの害作用は、今後どんな姿であらわれるか、見当もつかないほどだ。また、ご丁寧にも、低温殺菌あるいは超高温瞬間殺菌され、乳酸菌もいなくなっている。このような牛乳を飲む事によって、たとえ背が高く(体格が大型に)なったとしても、それに何の意義があるだろうか。

 

6.母乳が出なければ玄米乳がよい

 

 乳児には、母乳を与えるべきであるが、もちろん母乳の質も、母親の体質によってまちまちであろう。

牛乳を始めとした動蛋食品を過食している母親では、体質はかなり悪くなっているから、母乳の質もそれだけ悪い。

 だが、それでも、ミルクを与えるよりは、はるかにましだ。一応、人間の子育て用に分泌されるものだからだ。もちろん、よりよい質の母乳を出すために、食生活の改善に努める事が必要である。

 また、母乳の分泌されない悩みも、体質改善によって解消するはず。それでも母乳が出ない場合は、玄米乳を与えるとよい。モノは、健全な母乳をつくる大元の玄米であり、そのエキス分を極めて吸収しやすい姿にしてあるのだから、人間の子供に悪かろうはずはない。

 この玄米乳だけで、乳児の心身はヨリ健全に発育するのである。

 

【玄米乳のつくり方】

玄米に10倍量のミネラル水を用いる。(ミネラル水は水に天竜石(又は太陽石)をいれて放置すると出来る)

@     玄米を厚手のフライパンで狐色に炒る

A     分量のミネラル水を加え、圧力鍋に仕込み、強火にかける。沸騰したら弱火にし、30分煮てから火を止めそのまま15分ほどむらす。(圧力鍋を用いないときは、中火で3時間ほどコトコト煮込む)

B     炊き上がったら、裏ごし器にかけ、よくこす。

母乳代わりに用いるときは塩味はつけない。母乳と同様の甘さをもたせるために、黒砂糖またはハチミツ少量で味付けしてよい。

濃度は最初はうすくし、次第に濃い物を与えるようにする。

 

7.離乳後には何を飲めばよいか

 

 では、離乳後の子供や大人は何をのんだらよいか。どの動物のものであれ、乳とよばれるものはいっさいいらないのである。乳は、歯の生えない子供が飲むものである。自分の歯で、普通に食物を咀嚼できるようになれば不要なものだ。

 外国の肉食者が牛乳を盛んに飲んでいるのは、肉食による老廃産物の解毒と排泄をいくらかでも促進するためである。われわれの穀菜食民族には、もともと肉食は有害無益である。従って牛乳もいっさい不要なのである。

 とはいえ、牛乳の味を知ってしまったし、西洋風の料理や食習慣も日本人の生活の中に一定の地歩を築いてしまった。実際問題として、牛乳に変わる食品が入用のこともある。

 豆乳がそれにあてられよう。味も見た目も牛乳そっくり。大豆が原料なので、アレルギー体質になる心配もほとんどない。それどころか、牛乳を豆乳に切り換えることによってアレルギー体質も改善され、いろいろな疾病の治療に役立つ。牛乳の代用品というより、自然食品の新しい仲間なのだ。

 

【豆乳の作り方】

 

@     ダイズをきれいに洗い、一晩ミネラル水に浸す。

A     やわらかくなったダイズをつけ汁ごとミキサーにかける。

B     布巾でしぼる。この汁が豆乳。

C     豆乳を鍋にいれ、かき混ぜながら中火で10分ほど加熱する。黒砂糖、ハチミツ、自然園などで好みの味をつける。

 




「自然食で美しく健康にやせる本」より--森下敬一著





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