「医食」ダイエット(Y)

目 次

「ハチミツと砂糖は同じ」という間違い

  1. 自然物と不自然物 

  2. ハチミツは自然から摂取した蜜 

  3. 白砂糖は奇形児や精薄児の原因 

4. ハチミツは肌をきれに保つ 

  5.白砂糖は消化機能をダメにする 

6..ハチミツも食べ過ぎは禁物 



       「ハチミツと砂糖は同じ」という間違い

1.     自然物と不自然物 

 有機酸は、代謝中間産物である乳酸を分解する作用をもつ・・・といった研究成果が明らかになると「疲労回復、成人病の防止に酢を活用しよう」などということが大真面目にいわれる。肩の痛みや腰の痛み、筋肉のひきつれなど疲労の正体は乳酸である。また、この乳酸を完全燃焼させれば、体はアルカリ性の状態に保つ事ができるから、動脈硬化や高血圧の予防にもなる、というわけだ。

 また、グルタミン酸が、脳の活動に重要な働きをしているらしい・・・といった研究発表がされると「化学調味料(グルタミン酸ソーダ)は頭をよくする」といってさかんに使われたりする。

 こんな短絡思考が行われているのは、人間が目先の利益を求めることばかりに目を奪われて、視野狭窄状態となり、自然の道理というものを見失ってしまったためである。

 ハチミツと白砂糖は同じようなものだから、食べない方がよいと説く肥満コンサルタントがいる。ハチミツを糖源としか考えない短絡思考である。

 こと食物に関することで、ある意見が本当に正しいかどうか判断するためには、@モノそれ自体が自然のものかどうか? Aわれわれの生理の実情に適合するものであるかどうか? の二点について考えてみればよい。

 白砂糖(一般に砂糖といって消費されているのは白砂糖である)は、もともとの原料は、植物体からの甘い絞り汁である。糖分を主成分として、素蛋白、素脂肪、各種のミネラル、その他の有効微量成分が混然一体となっている自然物だ。

 これに、石炭や亜硫酸ガスやアンモニアなど各種の薬品を作用させたり、煮詰めたり、漂白したりして、精製して出来上がる真っ白い物質は、もはや自然物ではない。甘い味を与える化学物質であるにすぎない。従って、これを常用しておれば、健康状態も確実に混乱するのである。

 

2.      ハチミツは自然から摂取した蜜 

 

 これに対して、ハチミツは、ミツバチが花蜜を集めてつくったもの。ミネラルや酵素類が豊富に含まれている自然物だ。適度に用いることによって、胃腸機能の調整、便秘の解消、虚弱児の体力増強、疲労回復、不妊体質の改善などのいろいろなすぐれた健康増進効果をあらわす。

 ハチミツと白砂糖は、いずれも糖分が主成分となっており、強い甘味をもっているものだが、ハチミツは自然物であり、健康に有効である。一方、白砂糖は人工的化学物質と化したものであり、健康に著しい害を及ぼす。ハチミツと白砂糖は似て非なるものである。

 白砂糖の害作用を一言でいうと、「体細胞の機能を鈍化させる」こと。細胞質のコロイド性状を混乱させ、細胞内にあるいろいろな微量元素を外に追い出してしまう。とくに、重要な働きをしているカルシウム・鉄・ビタミンB1などを排除してしまう。

 もともと自然の食品には、それが食物として体内で完全に代謝されるのに必要な各種微量成分を含んでいるもの。精白という操作を加えることによって、それら微量成分が剥脱される。従って、自然な姿であったときはカルシウムの補給に役立つものが、精白食品になると、カルシウム欠乏を引き起こす食物になる・・・というように、180度逆転してしまう場合が多い。砂糖は、その典型的なものだ。自然物である黒糖は、ビタミンB群、カルシウムをはじめとしたミネラルの供給源になるが、白砂糖になるとビタミンB群やミネラルを奪い去る物質と化してしまうのである。

 ともかく、精製によって不自然物と化した物質が、体の自然のエネルギー代謝のサイクルの中で、何の問題もおこさず利用されるということはあり得ない。無理な反応を呼び起こす事は必至だ。

 「白砂糖は、エネルギー源となるので、疲れを回復させる」と一般にはいわれているが、実際は全く逆だ。脳細胞活動を低下させて、体をますます疲れやすくするばかりなのである。

 

3.      白砂糖は奇形児や精薄児の原因 

 

 また、ミネラル欠乏食品であるため、白砂糖を常食していると、アレルギー性疾患(慢性湿疹・喘息など)にかかりやすくなり、虫歯や近眼になりやすくなり、体力も知力も低下する。

 もっと大事なことは、白砂糖は奇形児や精薄児出生の有力な原因となり得る点だ。最近は、重症の先天性疾患が激増しているが、ほとんどは、妊娠中の母乳の白砂糖の摂り過ぎが原因である。極度のミネラル欠乏は、体質を軟弱化して、病気に対する抵抗力を著しく弱めるものなのだ。

 しかも、そのミネラル欠乏食品・白砂糖は、とくにカルシウム代謝を混乱させる体質をもっている。また、精製によって、ほとんど純粋な化学物質と化している。これらはいずれも、脳細胞の正常な発達を妨げ、体の形状を異常化する条件なのである。

 

4.     ハチミツは肌をきれに保つ 

 

 本物のハチミツを、適度に用いる場合は、そのような害作用はまったくない。本物のハチミツとは、ハチが自然の花蜜を集めてつくった蜜だけでつくられているもので、ハチに砂糖水を吸わせるというインチキをやったり、アメなどのまぜものを加えたりしてないもののこと。また、適当というのは、飲み物の味付けをしたり、パンにぬったり、というようなごく普通の使い方をすることで、ハチミツを大量に飲むといったようなムチャな使い方はしないことだ。

 さて、ハチミツには、花蜜の蔗糖(シュークロース)が、ハチの唾液中の酵素で分解された転化糖(果糖とブドウ糖)が75%含まれる。

 このほか、蛋白質、有機物、酵素、ホルモン様物質など、多様な有効成分が含まれている。とくにビタミン微量ながら、すべてのものが含まれている。

 そのうち、B6は、蛋白代謝促進作用があるため、肉食性老廃物の処理に有効だ。パントテン酸、コリンは造血効果をあらわし、基礎体力強化に役立つ。カリウムは体内の余計な塩分を排出して、血圧の正状化をもたらすのである。

 

5.      白砂糖は消化機能をダメにする 

 

 以上のような成分組成をみるだけでもわかるはずだが、同様に、甘味料として利用できるものだけれども、ハチミツと白砂糖では、食品としての意義はまったく異なるものなのだ。

 白砂糖は、消化機能を障害するものだが、ハチミツは、消化を助ける甘味料だ。白砂糖は、体内のビタミンやミネラルは浪費するために、体質を悪化させて、脳出血・ガンなどの重大な疾病をおこしやすくする。

 だが、ハチミツはミネラルや酵素などの補給源となり、腸内に健全な微生物を繁殖しやすくするため、血液を浄化して、疾病体質を改善する効果がある。実際、ハチミツが、白血病に有効に作用し、ガンの発生を抑えた、という動物実験の結果も報告されているほどだ。

 

      6.ハチミツも食べ過ぎは禁物 

 

とはいえ、自然の食物にはそれぞれ特有の味がついている。もちろん、自然の甘味もついているから、わざわざ甘味料を添加する必要はない。というより、ある限度以上に使用すれば、ハチミツのような自然の甘味料も害作用をあらわすようになる。純粋な糖分には、潜在的に有害性が備わっているのである。

 その主なものは @味覚のマヒ作用 A細胞膨化作用だ。甘味は、苦味や辛味などのような味と異なり、われわれに快い感覚をおこさせる。そのため、使用量が多くなりがちで、われわれの舌の感覚は、より強い甘味に慣らされてしまう。

 そうなると、甘味に対する感覚だけでなく、味覚そのものの感度が鈍ってしまうのである。このような味覚マヒがおこると、食物がもつ自然の味をもの足りないものに感じ、よりどぎつい不自然な味を喜ぶようになってしまう。

 また、糖分は、細胞膜の組織をゆるめ、水分を細胞内に浸入させて、組織を崩壊させる作用がある。

果物に大量の砂糖を加えるとジャムができるのも、この作用による。われわれの体の細胞に対しても、やはり同じような作用を及ぼす。腱や筋肉、靭帯など、正状状態では非常に強靭な組織も、濃厚な糖分に会うと、どんどん溶かされていくようになる。そうなれば当然、それらの組織器官の機能は障害されよう。このような糖分の作用が全身に及ぶのだから、体の抵抗力は著しく低下してしまうわけである。 

 従って、甘味は極力控えるのが賢明なのである。

 だが、実際問題としては、甘味料を使わざるを得ない場合もでてこよう。甘味は、心をなごませてくれるし、そのままでは飲みにくい薬草の煎汁を飲みやすくしてくれる・・・といった効用があるからだ。 

 そこで、より害作用が少なく、特別な薬用成分を含んだ甘味料を用いることが大切である。すなわち、黒糖、甘草、本物のハチミツ、メープルシュガーなどが適当であろう。

 



「自然食で美しく健康にやせる本」より--森下敬一著






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